2005-06-18

エレクトラ (R.シュトラウス)

   指揮: ウルフ・シルマー
   演出: ハンス=ペーター・レーマン          美術・衣装: オラフ・ツォンベック
   出演: クリテムネストラ_カラン・アームストロング  エレクトラ_ナディーヌ・セクンデ
       クリソテミス  _ナンシー・グスタフソン    エギスト _リチャード・ブルナー
       オレスト    _チェスター・バットン    
       オレストの養育者_長谷川 顕    他   合  唱 :新国立劇場合唱団
   オケ:東京フィルハーモニー交響楽団         芸術 監督:トーマス・ノヴォラツスキー

♪♪
♪ ストーリー ♪
 元はギリシャ神話をオペラ化したもの。
 敬愛する父アガメムノンを実母であるクリテムネストラ(ギリシャ語でクリュタイムネストラ)と母の愛人であるエギスト(アイギストス)に殺された娘エレクトラとクリソテミスの姉妹は館に閉じこめられひどい扱いを受けている。
 弟のオレスト(オレステス)は姉エレクトラの手で国外に逃れ、養育者の手で育てられていた。

 エレクトラは父の復讐を誓い、弟オレストが戻ってきて、母クリテムネストラとエギストを殺してくれる日を指折り数えて「父を殺した斧を日々確認しながら」待ち続けている。その日が来たら、歓喜の踊りを舞うことを楽しみに。

 だが、妹のクリソテミスは「復讐よりも館から出て普通の平穏な人生を歩みたい~例え百姓の妻でも~子供を産み育て家庭を作りたい」と願う。

 母であるクリテムネストラは毎夜夢にうなされている。そこへ息子のオレストが死んだとの知らせを聞き、喜ぶ母と絶望に陥り自分の手で母と愛人を殺すしかないと決意する娘エレクトラ。
ところが、オレストの「死の知らせ」は偽りであり、オレストは使者を装い戻り実母と愛人を殺し、エレクトラは歓喜の踊りを踊る中死ぬ。
♪ 感 想 ♪
 この曲はR・シュトラウスが一番先鋭的な曲を作っていた頃に出来たオペラです。
そのため、このような機会でも無ければ、とうてい自分からは聴きに行くことはなかったでしょう(^-^;)
しかも新国立劇場のS席で、舞台も良く見え音響も素晴らしくチケットを譲ってくださった先生に大大感謝しながら幕が上がるのを心待ちにしました。

 エレクトラは休憩無しで2時間弱上演され、厳密な幕の区切りはありません。

 曲が始まり、アガメムノンの動機が流れ初め・・・・う”~んシュトラウスだと先ず感想一番(やはり自分としてはイタリアオペラの方が圧倒的に好みです・・・すみません)。
 幕が上がり、舞台中央には真っ黒の壁のような大きな扉にアガメムノンの血しぶきと思われる赤が刺激的にぶちまけられています。
そうして床は段差のある大理石風?石段のような白っぽい灰色で、視覚的にも衝撃的な舞台です。
 そこで5人の下女達(これもそれぞれが大変に印象的な色彩の衣装)が、殺害されたアガメムノンの血潮を拭き取ろうとしていますが落ちません。
この5人の下女は日本人の女性歌手でしたが、いまいち。。。声はともかく、何を言っているか全くわからず、発音が大切なオペラとしてはちょっと★

 そこへ幽鬼のようなエレクトラが登場。
エレクトラはこの2時間弱の間、殆ど出ずっぱりな上、初めから叫ぶような気持ちの高ぶった歌を歌わねばならないし、また段々と狂気というか感情の振幅が激しい等難しい役柄で、それをエレクトラ役のセクンデは最後まで素晴らしかったと思います。

 このエレクトラの中で突出していたのは、クリテムネストラ役のカラン・アームストロング。
彼女は、歌といい声と言い、そして演技力と言い最高に!!素晴らしかったと思います。
 不倫の末、愛人と夫を殺し、実の息子に殺されることをおそれている母。
「夢」の話を通し、苦悩や矛盾する気持ち~反抗的な娘(エレクトラ)が憎い・怖いけれど、娘として自分を許してほしい認めてほしい?という気持ち~をとても上手に歌い上げていたと思います。

(まあ確かに、単なる夫殺しというわけじゃなく、元々クリテムネストラは別の夫と幸せに暮らしていた所を、アガメムノンに見初められてアガメムノ ンが元夫を殺し、クリテムネストラを妻にしました。その上、クリテムネストラが一番可愛がっていた長女を騙して生け贄にして殺し、長いトロイ戦争から戻っ てきた時にはトロイの王女カッサンドラ~しかも子供も生ませ~を伴って帰国すれば殺したくもなるかもしれない)

 母と娘の対決は、圧倒的に母のほうが歌手として役者として軍配があがったものの、エレクトラも中々好演だったと思います。
 何よりエレクトラは、復讐-絶望-希望-光・狂乱となかなか良かったなぁと、オレストとの再会ではこみ上げるものがあるほどでした(音楽もここは素晴らしかったし)。

 妹クリソテミス役の方も、ちょっと迫力は落ちるものの、なかなか良かったかと思います。
 エレクトラが復讐しか頭になく、父を裏切って殺した母を憎むあまり自分自身の「愛」を考えることが出来ない、過去に囚われ生きる希望がない、復讐しかないエレクトラに対して
 生きたいがゆえに、過去(父の殺害)を忘れて、母も生まれ育った館も忘れて出て行き、人として女性として幸せに生きたいという妹。
 この対比もしっかり出ていたかと思います。

 ただ、自分としてはエレクトラに共感はなかなか出来ません。
母を殺したい気持ちはわかるとしても~そういう事情があってのことだし(^.^;)~、弟が復讐してくれるのを、幽鬼のように(母達に虐待を受け ていたらしい)待ち、弟が死んだと知った上は妹(散々侮蔑してたくせに)をおだて上げて「一緒に殺そう」と持ちかけるエレクトラにちょっと嫌らしさを感じ ます。

 私なら、母一人だけでも!とさっさと自分一人で策を練って殺してしまうけどなぁ。。。。だって弟が殺せば弟の手だけが汚れるわけだし。最後自分 が狂乱の喜びの末死ぬなら、というかそれだけが楽しみで生きていたから死んでしまったんだろうけども、なおさら・・・なんていろいろ関係あるようなないよ うなことを思ってしまいました。

 音楽については難しいです。
こういう音楽を普段から聴いていないと、判断をするのはちょっと無理ですね・・・好みじゃないけどひとそれぞれの好みというしかありません。あ、 でも最後オレストがエギストを殺した後、長かった~エレクトラまだ死なないの?まだしゃべるの?とちょっと間延びしていたような。

 最後のアンコール。
歌手が出て、主役のセクンデやオレスト役のバットンが何回か他の日本人歌手の手を取って前へ誘っていたのに、皆断っていて・・・見ていてちょっと嫌な感じでした。
 あれは謙遜しているのだろうか?それにしても・・・ねぇ?